GEOS API

背景

GEOS とは?

GEOSGeometry Engine - Open Source の略であり、C++ライブラリであり、 Java Topology Suite から移植されました。GEOS は OpenGIS の Simple Features for SQL 空間記述関数や空間演算子を実装しています。GEOS は現在、OSGeo プロジェクトとなっており、もともとはカナダ・ビクトリアの Refractions Research によって開発・維持されていました。

特徴

GeoDjango は GEOS ライブラリの高レベルな Python ラッパーを実装しており、その機能には次のものがあります:

  • ctypes を使用して純粋に Python で実装された GEOS ジオメトリルーチンへの BSD ライセンスのインターフェイス。

  • GeoDjango とは疎結合です。たとえば、GEOSGeometry オブジェクトは Django プロジェクト/アプリケーションの外でも使用可能です。つまり、DJANGO_SETTINGS_MODULE を設定したり、データベースを使用する必要はありません。

  • ミュータビリティ (Mutability): GEOSGeometry オブジェクトは変更可能です。

  • クロスプラットフォームでテスト済みであり、Windows、Linux、Solaris、macOSプラットフォームと互換性があります。

チュートリアル

このセクションには、 GEOSGeometry オブジェクトの簡単な紹介とチュートリアルが含まれています。

ジオメトリを作成する

GEOSGeometry オブジェクトはいくつかの方法で作成できます。最初の方法は、単純に空間入力のオブジェクトをインスタンス化することです。以下は、同じジオメトリを WKT、HEX、WKB、GeoJSON から作成する例です:

>>> from django.contrib.gis.geos import GEOSGeometry
>>> pnt = GEOSGeometry("POINT(5 23)")  # WKT
>>> pnt = GEOSGeometry("010100000000000000000014400000000000003740")  # HEX
>>> pnt = GEOSGeometry(
...     memoryview(
...         b"\x01\x01\x00\x00\x00\x00\x00\x00\x00\x00\x00\x14@\x00\x00\x00\x00\x00\x007@"
...     )
... )  # WKB
>>> pnt = GEOSGeometry(
...     '{ "type": "Point", "coordinates": [ 5.000000, 23.000000 ] }'
... )  # GeoJSON

もう一つの方法は、作成したい特定のジオメトリタイプのコンストラクタを使用することです。たとえば、Point オブジェクトは、そのコンストラクタに X 座標と Y 座標を渡すことで作成できます:

>>> from django.contrib.gis.geos import Point
>>> pnt = Point(5, 23)

これらのコンストラクタはすべて、キーワード引数 srid を受け取ります。例えば:

>>> from django.contrib.gis.geos import GEOSGeometry, LineString, Point
>>> print(GEOSGeometry("POINT (0 0)", srid=4326))
SRID=4326;POINT (0 0)
>>> print(LineString((0, 0), (1, 1), srid=4326))
SRID=4326;LINESTRING (0 0, 1 1)
>>> print(Point(0, 0, srid=32140))
SRID=32140;POINT (0 0)

最後に、ファイルから GEOSGeometry オブジェクトを返す fromfile() ファクトリーメソッドがあります:

>>> from django.contrib.gis.geos import fromfile
>>> pnt = fromfile("/path/to/pnt.wkt")
>>> pnt = fromfile(open("/path/to/pnt.wkt"))

ジオメトリは Pythonic です

GEOSGeometry オブジェクトは 'Pythonic' (Pythonらしい) であり、要素には標準的な Python 形式を使ってアクセスしたり変更したり、イテレートしたりできます。例えば、Point の座標をイテレートできます:

>>> pnt = Point(5, 23)
>>> [coord for coord in pnt]
[5.0, 23.0]

ジオメトリオブジェクトの GEOSGeometry.coords プロパティを使用すると、ジオメトリ座標を Python のタプルで取得できます:

>>> pnt.coords
(5.0, 23.0)

標準の Python インデックス形式を使用して、ジオメトリオブジェクトを取得または設定できます。ただし、返されるものはオブジェクトのジオメトリタイプに依存します。例えば、LineString に対してインデックスを使用すると、座標の Python タプルが返されます:

>>> from django.contrib.gis.geos import LineString
>>> line = LineString((0, 0), (0, 50), (50, 50), (50, 0), (0, 0))
>>> line[0]
(0.0, 0.0)
>>> line[-2]
(50.0, 0.0)

Polygon 上のインデックス指定は、そのインデックスに対応するリング (LinearRing オブジェクト) を返します:

>>> from django.contrib.gis.geos import Polygon
>>> poly = Polygon(((0.0, 0.0), (0.0, 50.0), (50.0, 50.0), (50.0, 0.0), (0.0, 0.0)))
>>> poly[0]
<LinearRing object at 0x1044395b0>
>>> poly[0][-2]  # second-to-last coordinate of external ring
(50.0, 0.0)

さらに、ジオメトリの座標や要素はPythonのリストのように追加や変更が可能です:

>>> line[0] = (1.0, 1.0)
>>> line.pop()
(0.0, 0.0)
>>> line.append((1.0, 1.0))
>>> line.coords
((1.0, 1.0), (0.0, 50.0), (50.0, 50.0), (50.0, 0.0), (1.0, 1.0))

ジオメトリーは set のような演算子をサポートします:

>>> from django.contrib.gis.geos import LineString
>>> ls1 = LineString((0, 0), (2, 2))
>>> ls2 = LineString((1, 1), (3, 3))
>>> print(ls1 | ls2)  # equivalent to `ls1.union(ls2)`
MULTILINESTRING ((0 0, 1 1), (1 1, 2 2), (2 2, 3 3))
>>> print(ls1 & ls2)  # equivalent to `ls1.intersection(ls2)`
LINESTRING (1 1, 2 2)
>>> print(ls1 - ls2)  # equivalent to `ls1.difference(ls2)`
LINESTRING(0 0, 1 1)
>>> print(ls1 ^ ls2)  # equivalent to `ls1.sym_difference(ls2)`
MULTILINESTRING ((0 0, 1 1), (2 2, 3 3))

等値演算子は空間的な等価性をチェックしません

GEOSGeometry の等値演算子は、equals_exact() を使用します。equals() ではありません。つまり、比較されるジオメトリは、同じ座標、同じ位置、同じSRID を持つ必要があります。

>>> from django.contrib.gis.geos import LineString
>>> ls1 = LineString((0, 0), (1, 1))
>>> ls2 = LineString((1, 1), (0, 0))
>>> ls3 = LineString((1, 1), (0, 0), srid=4326)
>>> ls1.equals(ls2)
True
>>> ls1 == ls2
False
>>> ls3 == ls2  # different SRIDs
False

ジオメトリ・オブジェクト

GEOSGeometry

class GEOSGeometry(geo_input, srid=None)[ソース]
パラメータ:
  • geo_input -- ジオメトリ入力値 (文字列または memoryview)

  • srid (int) -- 空間参照識別子

これはすべてのGEOSジオメトリオブジェクトの基底クラスです。geo_input 引数で初期化され、適切なジオメトリサブクラスを想定します (たとえば、 GEOSGeometry('POINT(1 1)')Point オブジェクトを作成します)。

パラメータ srid が与えられた場合、 geo_input が SRID を持っていない場合は、作成されたジオメトリの SRID が設定されます。パラメータ geo_inputsrid で異なる SRID が指定された場合、 ValueError が発生します:

>>> from django.contrib.gis.geos import GEOSGeometry
>>> GEOSGeometry("POINT EMPTY", srid=4326).ewkt
'SRID=4326;POINT EMPTY'
>>> GEOSGeometry("SRID=4326;POINT EMPTY", srid=4326).ewkt
'SRID=4326;POINT EMPTY'
>>> GEOSGeometry("SRID=1;POINT EMPTY", srid=4326)
Traceback (most recent call last):
...
ValueError: Input geometry already has SRID: 1.

以下の入力形式とそれに対応するPythonの型を受け付けます:

フォーマット

入力の型

WKT / EWKT

str

HEX / HEXEWKB

str

WKB / EWKB

memoryview

GeoJSON

str

GeoJSON形式では、SRIDは crs メンバーに基づいて設定されます。もし crs が指定されていない場合、SRIDはデフォルトで4326になります。

classmethod GEOSGeometry.from_gml(gml_string)

与えられたGML文字列から GEOSGeometry を構築します。

プロパティ

GEOSGeometry.coords

ジオメトリの座標をタプルで返します。

GEOSGeometry.dims

ジオメトリの次元を返します:

GEOSGeometry.empty

ジオメトリ内の点の集合が空であるかどうかを返します。

GEOSGeometry.geom_type

ジオメトリの種類に対応する文字列を返します。例:

>>> pnt = GEOSGeometry("POINT(5 23)")
>>> pnt.geom_type
'Point'
GEOSGeometry.geom_typeid

GEOS ジオメトリタイプ識別番号を返します。  次の表に、各ジオメトリタイプの値を示します:

ジオメトリ

ID

Point

0

LineString

1

LinearRing

2

Polygon

3

MultiPoint

4

MultiLineString

5

MultiPolygon

6

GeometryCollection

7

GEOSGeometry.num_coords

ジオメトリ内の座標の数を返します。

GEOSGeometry.num_geom

このジオメトリに含まれるジオメトリの数を返します。つまり、ジオメトリ・コレクション以外では 1 を返します。

GEOSGeometry.hasz

ジオメトリが3次元であるかどうかを示す真偽値を返します。

GEOSGeometry.ring

ジオメトリが LinearRing であるかどうかを示す真偽値を返します。

GEOSGeometry.simple

与えられたジオメトリが "simple" であるかどうかを示す真偽値を返します。ジオメトリが "simple" であるのは、自分自身と交差しない場合に限ります (境界点での交差を除く) 。例えば、LineString オブジェクトは、自分自身と交差すると "simple" ではありません。したがって、定義上自身と交差しないため、LinearRingPolygon オブジェクトは常に "simple" です。

GEOSGeometry.valid

ジオメトリが有効かどうかを示すブール値を返します。

GEOSGeometry.valid_reason

ジオメトリが無効である理由を表す文字列を返します。

GEOSGeometry.srid

ジオメトリに関連付けられた SRID を取得または設定するために使用できるプロパティ。例えば:

>>> pnt = Point(5, 23)
>>> print(pnt.srid)
None
>>> pnt.srid = 4326
>>> pnt.srid
4326

出力プロパティ

このセクションのプロパティは、GEOSGeometry オブジェクトを異なる()形式にエクスポートします。この出力は文字列、バッファ、または別のオブジェクトの形式で表されます。

GEOSGeometry.ewkt

ジオメトリの "拡張" Well-Known Text を返します。この表現は PostGIS に固有であり、OGC WKT 標準のスーパーセットです。 [1] SRID は本質的に WKT 表現の前に付加されます。例えば SRID=4326;POINT(5 23) のようになります。

注釈

このプロパティからの出力には、PostGISがそのEWKT表現でサポートする3dm、3dz、および4d情報は含まれません。

GEOSGeometry.hex

このジオメトリの WKB を 16 進数で返します。  SRID値はOGC仕様の一部ではないため、この表現には含まれないことに注意してください (代わりに GEOSGeometry.hexewkb プロパティを使用してください) 。

GEOSGeometry.hexewkb

このジオメトリのEWKBを16進形式で返します。これは、このジオメトリの一部であるSRID値を含むWKB仕様の拡張です。

GEOSGeometry.json

ジオメトリの GeoJSON 表現を返します。結果は完全な GeoJSON 構造ではなく、GeoJSON 構造の geometry キーの内容のみです。 GeoJSON シリアライザ も参照してください。

GEOSGeometry.geojson

GEOSGeometry.json のエイリアス。

GEOSGeometry.kml

ジオメトリの KML (Keyhole Markup Language) 表現を返します。 これは、SRID が 4326 (WGS84) のジオメトリにのみ使用すべきですが、この制限は強制されません。

GEOSGeometry.ogr

GEOS ジオメトリに対応する OGRGeometry オブジェクトを返します。

GEOSGeometry.wkb

このジオメトリのWKB (Well-Known Binary) 表現を Python バッファとして返します。SRID 値は含まれません。代わりに、ewkb プロパティを使用してください。

GEOSGeometry.ewkb

このジオメトリの EWKB 表現を Python バッファとして返します。これは、このジオメトリの一部であるすべての SRID 値を含む WKB 仕様の拡張です。

GEOSGeometry.wkt

ジオメトリの Well-Known Text (OGC標準) を返します。

空間述語メソッド (Spatial Predicate Method)

以下の空間述語 (predicate) メソッドは、別の GEOSGeometry インスタンス (other) をパラメータとして受け取り、真偽値を返します。

GEOSGeometry.contains(other)

other.within(this)True を返した場合に True を返します。

GEOSGeometry.covers(other)

このジオメトリが指定したジオメトリをカバーしている場合は True を返します。

covers predicate は以下の定義と等価です:

  • もう一方のジオメトリのすべての点は、このジオメトリの点である。

  • 2つのジオメトリの DE-9IM 交差行列は T*****FF*, *T****FF*, ***T**FF*, または ****T*FF* である。

どちらかのジオメトリが空の場合、False を返します。

この predicate は GEOSGeometry.contains() に似ていますが、より包括的です (つまり、より多くの場合に True を返します) 。特に、 contains() とは異なり、ジオメトリの境界と内部の点を区別しません。ほとんどの場合、 contains() よりも covers() を優先すべきです。さらに、 covers() は最適化しやすいので、 contains() よりも優れています。

GEOSGeometry.crosses(other)

2つのジオメトリの DE-9IM 交差行列が T*T******* (点と曲線、点と面積、線と面積の場合) 0******** (2つの曲線の場合) である場合に True を返します。

GEOSGeometry.disjoint(other)

2つのジオメトリのDE-9IM交差行列が FF*FF**** である場合に True を返します。

GEOSGeometry.equals(other)

2つのジオメトリの DE-9IM 交差行列が T*F**FFF* である場合に True を返します。

GEOSGeometry.equals_exact(other, tolerance=0)

2つのジオメトリが指定した許容誤差まで正確に等しい場合に true を返します。tolerance 値は、比較における誤差の許容値を表す浮動小数点数である必要があります。たとえば、 poly1.equals_exact(poly2, 0.001) は、1000分の1単位以内で等しいかどうかを比較します。

GEOSGeometry.equals_identical(other)
New in Django 5.0.

すべての次元において、すべての頂点の構造、順序、および値が同じであることをチェックすることにより、2つのジオメトリが点的に等価である場合に True を返します。 NaN 値は他の NaN 値と等しいとみなされます。GEOS 3.12が必要です。

GEOSGeometry.intersects(other)

GEOSGeometry.disjoint()False の場合に True を返します。

GEOSGeometry.overlaps(other)

2つのジオメトリの DE-9IM 交差行列が T*T***T** (2つの点または2つの曲面の場合) 1*T***T** (2つの曲線の場合) である場合に true を返します.

GEOSGeometry.relate_pattern(other, pattern)

このジオメトリと他のジオメトリの DE-9IM 交差行列の要素が、与えられた pattern -- アルファベットから 9 文字の文字列と一致する場合に True を返します: {T, F, *, 0} の9文字の文字列。

GEOSGeometry.touches(other)

2つのジオメトリのDE-9IM交差行列が FT*******, F**T***** または F***T**** である場合に True を返します。

GEOSGeometry.within(other)

2つのジオメトリの DE-9IM 交差行列が T*F**F*** である場合に True を返します。

トポロジー的 (Topological) メソッド

GEOSGeometry.buffer(width, quadsegs=8)

このジオメトリからの距離が与えられた width 以下のすべての点を表す GEOSGeometry を返す。オプションの quadsegs キーワードは、1/4円の近似に使用するセグメントの数を設定します (デフォルトは8) 。

GEOSGeometry.buffer_with_style(width, quadsegs=8, end_cap_style=1, join_style=1, mitre_limit=5.0)

buffer() と同じですが、バッファのスタイルをカスタマイズできます。

  • end_cap_style には、round (1) 、flat (2) 、square (3) を指定できます。

  • join_style には round (1) 、mitre (2) 、bevel (3) のいずれかを指定します。

  • Mitre レシオ制限 (mitre_limit) は、mitre 形式の結合スタイルにのみ影響します。

GEOSGeometry.difference(other)

このジオメトリを構成する点のうち、他の点を構成しない点を表す GEOSGeometry を返す。

GEOSGeometry.interpolate(distance)
GEOSGeometry.interpolate_normalized(distance)

与えられた距離 (float) に対する、その距離上の点 (またはもっとも近い点) を返します。この距離は、 LineString または MultiLineString のジオメトリであり、正規化されたバージョンでは、0 (始点) から 1 (終点) の値を取る float 型として距離の値を取ります。

GEOSGeometry.project() の逆。

GEOSGeometry.intersection(other)

このジオメトリと他のジオメトリが共有する点を表す GEOSGeometry を返す。

GEOSGeometry.project(point)
GEOSGeometry.project_normalized(point)

ジオメトリ (LineString または MultiLineString) の原点から、ジオメトリに投影された点 (つまり、指定された点に最も近い線の点) までの距離 (float) を返します。正規化されたバージョンは、0 (原点) と 1 (終点) の間の浮動小数点数として距離を返します。

GEOSGeometry.interpolate() の逆。

GEOSGeometry.relate(other)

このジオメトリと他のジオメトリのトポロジカルな関係を表す DE-9IM 交差行列 (文字列) を返します。

GEOSGeometry.simplify(tolerance=0.0, preserve_topology=False)

新しい GEOSGeometry を返します。これは Douglas-Peucker アルゴリズムを用いて、指定した許容誤差まで単純化されます。許容誤差の値が大きいほど、出力される点は少なくなります。公差が指定されない場合、デフォルトは0です。

デフォルトでは、この関数はトポロジーを保持しません。例えば、 Polygon オブジェクトは分割されたり、線に折りたたまれたり、消えたりすることがあります。 Polygon の穴ができたり消えたり、線が交差したりすることがあります。 preserve_topology=True を指定することで、結果は入力と同じ次元と要素数になります。

GEOSGeometry.sym_difference(other)

このジオメトリに含まれる点のうち他のジオメトリに含まれない点と、他のジオメトリに含まれる点のうちこのジオメトリに含まれない点を結合した GEOSGeometry を返す。

GEOSGeometry.union(other)

このジオメトリともう一方のジオメトリのすべての点を表す GEOSGeometry を返す。

トポロジー的プロパティ

GEOSGeometry.boundary

新しく割り当てられた Geometry オブジェクトとして境界を返します。

GEOSGeometry.centroid

ジオメトリの幾何学的中心を表す Point オブジェクトを返します。この点はジオメトリの内側にあることは保証されません。

GEOSGeometry.convex_hull

ジオメトリ内のすべての点を含む最小の Polygon を返す。

GEOSGeometry.envelope

このジオメトリの外接を表す Polygon を返します。入力ジオメトリが点の場合は Point を返すこともあります。

GEOSGeometry.point_on_surface

このジオメトリ内部に存在することが保証された Point を計算し、返します。

GEOSGeometry.unary_union

このジオメトリのすべての要素の和集合を計算します。

結果は次の規約に従います:

  • LineString の集合を結合することは、ラインワークを完全にノード化し、分解する効果がある。

  • Polygon のセットを結合すると常に Polygon または MultiPolygon ジオメトリが返されます (GEOSGeometry.union() は、トポロジーの崩壊が発生した場合、次元が低いジオメトリが返される可能性がある点が異なります)。

その他のプロパティとメソッド

GEOSGeometry.area

このプロパティは、ジオメトリの面積を返します。

GEOSGeometry.extent

このプロパティは、このジオメトリの範囲を (xmin, ymin, xmax, ymax) からなる4タプルで返します。

GEOSGeometry.clone()

このメソッドは、元のジオメトリのクローンである GEOSGeometry を返します。

GEOSGeometry.distance(geom)

このジオメトリと与えられた geom (別の GEOSGeometry オブジェクト) との間の最も近い点の距離を返します。

注釈

GEOSの距離計算は線形です。言い換えると、GEOSはSRIDが地理座標系を指定していても球面計算を行いません。

GEOSGeometry.length

このジオメトリの長さを返します (例: Point の場合は 0、LineString の長さ、または Polygon の円周)。

GEOSGeometry.prepared

このジオメトリの内容の GEOS PreparedGeometry を返します。 PreparedGeometry オブジェクトは、contains、intersects、covers、crosss、disjoint、overlaps、touches、および within の操作に最適化されています。詳細は 準備された (Prepared) ジオメトリ のドキュメントを参照してください。

GEOSGeometry.srs

ジオメトリの SRID に対応する SpatialReference オブジェクト、または None を返します。

GEOSGeometry.transform(ct, clone=False)

与えられた座標変換パラメータ (ct) に従ってジオメトリを変換します。座標変換パラメータは、整数の SRID、空間参照の WKT 文字列、PROJ 文字列、 SpatialReference オブジェクト、 CoordTransform オブジェクトのいずれかです。デフォルトでは、ジオメトリはその場で変換され、何も返されません。しかし、 clone キーワードが設定されている場合、ジオメトリは変更されず、変換されたジオメトリのクローンが返されます。

注釈

GDALが利用できないか、ジオメトリのSRIDが None または0未満の場合に GEOSException を発生させます。 CoordTransform オブジェクトを使用して呼び出される場合、ジオメトリのSRIDには制約を与えません。

GEOSGeometry.make_valid()

入力された頂点を失わず、有効な GEOSGeometry に変換して返します。既に有効なジオメトリの場合、そのまま返されます。これは MakeValid データベース関数に類似しています。GEOS 3.8が必要です。

GEOSGeometry.normalize(clone=False)

このジオメトリを正規形に変換します。 clone キーワードがセットされている場合、ジオメトリは変更されず、代わりにジオメトリの正規化されたクローンが返されます:

>>> g = MultiPoint(Point(0, 0), Point(2, 2), Point(1, 1))
>>> print(g)
MULTIPOINT (0 0, 2 2, 1 1)
>>> g.normalize()
>>> print(g)
MULTIPOINT (2 2, 1 1, 0 0)

Point

class Point(x=None, y=None, z=None, srid=None)[ソース]

Point オブジェクトは、ポイントの座標を表す引数を使用してインスタンス化されたり、1 つのシーケンス座標でインスタンス化されたりします。例えば、以下は同等です:

>>> pnt = Point(5, 23)
>>> pnt = Point([5, 23])

空の Point オブジェクトを引数なしまたは空のシーケンスを渡すことでインスタンス化できます。以下は同等です:

>>> pnt = Point()
>>> pnt = Point([])

LineString

class LineString(*args, **kwargs)[ソース]

LineString オブジェクトは、座標のシーケンスまたは Point オブジェクトを引数としてインスタンス化されます。例えば、以下は同等です:

>>> ls = LineString((0, 0), (1, 1))
>>> ls = LineString(Point(0, 0), Point(1, 1))

さらに、LineString オブジェクトは、座標または Point オブジェクトのシーケンスを渡すことによっても作成できます:

>>> ls = LineString(((0, 0), (1, 1)))
>>> ls = LineString([Point(0, 0), Point(1, 1)])

空の LineString オブジェクトは、引数を渡さないか空のシーケンスを渡すことでインスタンス化できます。以下は同等です:

>>> ls = LineString()
>>> ls = LineString([])
closed

この LineString が閉じているかどうかを返します。

LinearRing

class LinearRing(*args, **kwargs)[ソース]

LinearRing オブジェクトは、LineString オブジェクトとまったく同じ方法で構築されますが、座標は 閉じている 必要があります。つまり、最初の座標と最後の座標が同じである必要があります。例:

>>> ls = LinearRing((0, 0), (0, 1), (1, 1), (0, 0))

(0, 0) は最初で最後の座標です。もし等しくなければ、エラーが発生します。

is_counterclockwise[ソース]

この LinearRing が反時計回りかどうかを返します。

Polygon

class Polygon(*args, **kwargs)[ソース]

Polygon オブジェクトは、多角形のリングを表すパラメータを渡すことでインスタンス化できます。パラメータは、 LinearRing インスタンスであるか、 LinearRing を構築するために使用できるシーケンスである必要があります。

>>> ext_coords = ((0, 0), (0, 1), (1, 1), (1, 0), (0, 0))
>>> int_coords = ((0.4, 0.4), (0.4, 0.6), (0.6, 0.6), (0.6, 0.4), (0.4, 0.4))
>>> poly = Polygon(ext_coords, int_coords)
>>> poly = Polygon(LinearRing(ext_coords), LinearRing(int_coords))
classmethod from_bbox(bbox)[ソース]

与えられたバウンディングボックスからポリゴンオブジェクトを返します。ポリゴンオブジェクトは (xmin, ymin, xmax, ymax) からなる4タプルで構成されます。

num_interior_rings[ソース]

このジオメトリの内部リングの数を返します。

ポリゴン(多角形)の比較

ポリゴンのオブジェクトを直接 <> と比較することも可能ですが、比較はポリゴンの LineString を通して行われるため、あまり意味がないことに注意してください (しかし、一貫性があり、素早く比較できます) 。 area プロパティで常に強制的に比較することもできます:

>>> if poly_1.area > poly_2.area:
...     pass
...

ジオメトリのコレクション

MultiPoint

class MultiPoint(*args, **kwargs)[ソース]

MultiPoint オブジェクトは Point オブジェクトを引数として渡すか、1つの Point オブジェクトのシーケンスを渡すことでインスタンス化できます。

>>> mp = MultiPoint(Point(0, 0), Point(1, 1))
>>> mp = MultiPoint((Point(0, 0), Point(1, 1)))

MultiLineString

class MultiLineString(*args, **kwargs)[ソース]

MultiLineString オブジェクトは、 LineString オブジェクトを引数として渡すか、1つの LineString オブジェクトのシーケンスを渡すことでインスタンス化が可能です。

>>> ls1 = LineString((0, 0), (1, 1))
>>> ls2 = LineString((2, 2), (3, 3))
>>> mls = MultiLineString(ls1, ls2)
>>> mls = MultiLineString([ls1, ls2])
merged

この MultiLineString のすべてのコンポーネントを結合した線を表す LineString を返します。

closed

すべての要素が閉じられている場合にのみ True を返します。

MultiPolygon

class MultiPolygon(*args, **kwargs)[ソース]

MultiPolygon オブジェクトは、 Polygon オブジェクトを引数として渡すか、1つの Polygon オブジェクトのシーケンスを渡すことでインスタンス化できます。

>>> p1 = Polygon(((0, 0), (0, 1), (1, 1), (0, 0)))
>>> p2 = Polygon(((1, 1), (1, 2), (2, 2), (1, 1)))
>>> mp = MultiPolygon(p1, p2)
>>> mp = MultiPolygon([p1, p2])

GeometryCollection

class GeometryCollection(*args, **kwargs)[ソース]

GeometryCollection オブジェクトは、他の GEOSGeometry オブジェクトを引数として渡すか、または単一の GEOSGeometry オブジェクトのシーケンスを引数として渡すことでインスタンス化できます:

>>> poly = Polygon(((0, 0), (0, 1), (1, 1), (0, 0)))
>>> gc = GeometryCollection(Point(0, 0), MultiPoint(Point(0, 0), Point(1, 1)), poly)
>>> gc = GeometryCollection((Point(0, 0), MultiPoint(Point(0, 0), Point(1, 1)), poly))

準備された (Prepared) ジオメトリ

事前に準備された prepared ジオメトリを取得するには、 GEOSGeometry.prepared プロパティにアクセスします。 PreparedGeometry インスタンスを取得したら、以下にリストされているその空間述語 (predicate) メソッドを他の GEOSGeometry オブジェクトで使用できます。prepared ジオメトリを使った操作は、桁違いに高速になることがあります。prepared ジオメトリがより複雑な場合、操作は大いに高速化されます。詳細については、 GEOS wiki page on prepared geometries. を参照してください。

例:

>>> from django.contrib.gis.geos import Point, Polygon
>>> poly = Polygon.from_bbox((0, 0, 5, 5))
>>> prep_poly = poly.prepared
>>> prep_poly.contains(Point(2.5, 2.5))
True

PreparedGeometry

class PreparedGeometry

PreparedGeometry のすべてのメソッドは other 引数を取ります。この引数は GEOSGeometry インスタンスでなければなりません。

contains(other)
contains_properly(other)
covers(other)
crosses(other)
disjoint(other)
intersects(other)
overlaps(other)
touches(other)
within(other)

ジオメトリ ファクトリ

fromfile(file_h)[ソース]
パラメータ:

file_h (a Python file object or a string path to the file) -- 空間データを含む入力ファイル

戻り値の型:

ファイル内の空間データに対応する GEOSGeometry

例:

>>> from django.contrib.gis.geos import fromfile
>>> g = fromfile("/home/bob/geom.wkt")
fromstr(string, srid=None)[ソース]
パラメータ:
  • string (str) -- 空間データを含む文字列

  • srid (int) -- 空間参照識別子

戻り値の型:

文字列内の空間データに対応する GEOSGeometry

fromstr(string, srid) は、 GEOSGeometry(string, srid) と同等です。

例:

>>> from django.contrib.gis.geos import fromstr
>>> pnt = fromstr("POINT(-90.5 29.5)", srid=4326)

I/O オブジェクト

Reader オブジェクト

Reader I/Oクラスは、 read(geom) メソッドに渡されたWKBおよび/またはWKT入力から GEOSGeometry インスタンスを返します。

class WKBReader[ソース]

例:

>>> from django.contrib.gis.geos import WKBReader
>>> wkb_r = WKBReader()
>>> wkb_r.read("0101000000000000000000F03F000000000000F03F")
<Point object at 0x103a88910>
class WKTReader[ソース]

例:

>>> from django.contrib.gis.geos import WKTReader
>>> wkt_r = WKTReader()
>>> wkt_r.read("POINT(1 1)")
<Point object at 0x103a88b50>

Writer オブジェクト

すべての Writer オブジェクトは write(geom) メソッドを持っており、与えられたジオメトリの WKB または WKT を返します。さらに、WKBWriter オブジェクトは、バイトオーダーを変更したり、SRID 値 (言い換えれば、EWKB) を含めるために使用できるプロパティも持っています。

class WKBWriter(dim=2)[ソース]

WKBWriter はその出力を最もコントロールできます。デフォルトでは、 write メソッドが呼ばれると OGC 準拠の WKB を返します。ただし、追加情報を含むWKB標準のスーパーセットであるEWKBを作成できるプロパティも持っています。引数 dim の詳細については WKBWriter.outdim のドキュメントを参照してください。

write(geom)[ソース]

与えられたジオメトリの WKB を Python の buffer オブジェクトとして返します。例:

>>> from django.contrib.gis.geos import Point, WKBWriter
>>> pnt = Point(1, 1)
>>> wkb_w = WKBWriter()
>>> wkb_w.write(pnt)
<read-only buffer for 0x103a898f0, size -1, offset 0 at 0x103a89930>
write_hex(geom)[ソース]

ジオメトリのWKBを16進数で返します。例:

>>> from django.contrib.gis.geos import Point, WKBWriter
>>> pnt = Point(1, 1)
>>> wkb_w = WKBWriter()
>>> wkb_w.write_hex(pnt)
'0101000000000000000000F03F000000000000F03F'
byteorder

このプロパティを設定すると、ジオメトリ表現のバイトオーダーを変更できます。

バイトオーダーの値

説明

0

ビッグエンディアン (例: RISC システムと互換性あり)

1

リトルエンディアン (例: x86 システムと互換性あり)

例:

>>> from django.contrib.gis.geos import Point, WKBWriter
>>> wkb_w = WKBWriter()
>>> pnt = Point(1, 1)
>>> wkb_w.write_hex(pnt)
'0101000000000000000000F03F000000000000F03F'
>>> wkb_w.byteorder = 0
'00000000013FF00000000000003FF0000000000000'
outdim[ソース]

このプロパティは、ジオメトリ表現の出力次元を変更するために設定できます。つまり、3D ジオメトリの場合は 3 に設定し、Z 値が WKB に含まれるようにします。

Outdim 値

説明

2

デフォルトで、2次元のWKBを出力します。

3

3D の WKB を出力します。

例:

>>> from django.contrib.gis.geos import Point, WKBWriter
>>> wkb_w = WKBWriter()
>>> wkb_w.outdim
2
>>> pnt = Point(1, 1, 1)
>>> wkb_w.write_hex(pnt)  # By default, no Z value included:
'0101000000000000000000F03F000000000000F03F'
>>> wkb_w.outdim = 3  # Tell writer to include Z values
>>> wkb_w.write_hex(pnt)
'0101000080000000000000F03F000000000000F03F000000000000F03F'
srid[ソース]

このプロパティに真偽値を設定して、ジオメトリのSRIDがWKB表現に含まれるかどうかを示します。例:

>>> from django.contrib.gis.geos import Point, WKBWriter
>>> wkb_w = WKBWriter()
>>> pnt = Point(1, 1, srid=4326)
>>> wkb_w.write_hex(pnt)  # By default, no SRID included:
'0101000000000000000000F03F000000000000F03F'
>>> wkb_w.srid = True  # Tell writer to include SRID
>>> wkb_w.write_hex(pnt)
'0101000020E6100000000000000000F03F000000000000F03F'
class WKTWriter(dim=2, trim=False, precision=None)[ソース]

このクラスを使用すると、ジオメトリの WKT 表現を出力できます。コンストラクタの引数の詳細については WKBWriter.outdim, trim, precision 属性を参照してください。

write(geom)[ソース]

与えられたジオメトリのWKTを返します。例:

>>> from django.contrib.gis.geos import Point, WKTWriter
>>> pnt = Point(1, 1)
>>> wkt_w = WKTWriter()
>>> wkt_w.write(pnt)
'POINT (1.0000000000000000 1.0000000000000000)'
outdim[ソース]

WKBWriter.outdim を参照。

trim[ソース]

このプロパティは、不要な小数のトリミングを有効または無効にするために使用されます。

>>> from django.contrib.gis.geos import Point, WKTWriter
>>> pnt = Point(1, 1)
>>> wkt_w = WKTWriter()
>>> wkt_w.trim
False
>>> wkt_w.write(pnt)
'POINT (1.0000000000000000 1.0000000000000000)'
>>> wkt_w.trim = True
>>> wkt_w.write(pnt)
'POINT (1 1)'
precision[ソース]

このプロパティは座標の丸め精度をコントロールします。もし None に設定すると丸めは無効になります。

>>> from django.contrib.gis.geos import Point, WKTWriter
>>> pnt = Point(1.44, 1.66)
>>> wkt_w = WKTWriter()
>>> print(wkt_w.precision)
None
>>> wkt_w.write(pnt)
'POINT (1.4399999999999999 1.6599999999999999)'
>>> wkt_w.precision = 0
>>> wkt_w.write(pnt)
'POINT (1 2)'
>>> wkt_w.precision = 1
>>> wkt_w.write(pnt)
'POINT (1.4 1.7)'

脚注

設定

GEOS_LIBRARY_PATH

GEOS Cライブラリの場所を指定する文字列。通常、この設定は GEOS C ライブラリが標準以外の場所にある場合にのみ使用されます (/home/bob/lib/libgeos_c.so など)。

注釈

設定は C 共有ライブラリの フル パスである必要があります。つまり、 libgeos.so ではなく libgeos_c.so を使用することが望まれます。

例外

exception GEOSException[ソース]

ベースとなるGEOS例外。GEOS関連のエラーを示します。

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