ミドルウェア (Middleware)

ミドルウェアは、Django のリクエスト/レスポンス処理にフックを加えるためのフレームワークです。これは、Django の入力あるいは出力をグローバルに置き換えるための、軽量で低レベルの「プラグイン」システムです。

各ミドルウェアのコンポーネントは、それぞれある特定の機能を実行する役目を持っています。たとえば、Django には AuthenticationMiddleware というミドルウェアコンポーネントがあります。このミドルウェアは、セッションを利用して、リクエストとユーザーとを関連付けます。

このドキュメントでは、ミドルウェアが機能するしくみ、ミドルウェアを有効にする方法、そして、自分でミドルウェアを書く方法について説明します。Django には組み込みのミドルウェアがいくつか用意されているので、自分で書かなくてもすぐに使い始めることができます。これらの組み込みのミドルウェアについては、組み込みミドルウェアリファレンス にドキュメントされているので参照してください。

Changed in Django 1.10:

A new style of middleware was introduced for use with the new MIDDLEWARE setting. If you’re using the old MIDDLEWARE_CLASSES setting, you’ll need to adapt old, custom middleware before using the new setting. This document describes new-style middleware. Refer to this page in older versions of the documentation for a description of how old-style middleware works.

自分でミドルウェアを書く

ミドルウェアファクトリは、ミドルウェアを返す get_response を取るカラブルです。ミドルウェアは (ビューと同じように) リクエストを受け取ってレスポンスを返すカラブルです。

ミドルウェアは、以下のように関数として書くことができます:

def simple_middleware(get_response):
    # One-time configuration and initialization.

    def middleware(request):
        # Code to be executed for each request before
        # the view (and later middleware) are called.

        response = get_response(request)

        # Code to be executed for each request/response after
        # the view is called.

        return response

    return middleware

もしくは、カラブルをインスタンスとして持つクラスとして書くこともできます:

class SimpleMiddleware(object):
    def __init__(self, get_response):
        self.get_response = get_response
        # One-time configuration and initialization.

    def __call__(self, request):
        # Code to be executed for each request before
        # the view (and later middleware) are called.

        response = self.get_response(request)

        # Code to be executed for each request/response after
        # the view is called.

        return response

Django によって渡される get_response カラブルは、実際の (これがミドルウェアの最後にリストアップされている場合) ビューか、チェーン内の次のミドルウェアの可能性があります。現在のミドルウェアはこれが何かを知る必要も気にする必要もなく、ただ次に来るものを表します。

上記は、わずかに単純化したものです – チェーン内の際にリストアップされたミドルウェアに対する get_response は実際のビューではなく ビューミドルウェア を適用する処理を行うハンドラからのラッパーメソッドです。これは適切な URL 属性でビューを呼び出し、テンプレートレスポンス例外 を適用します。

ミドルウェアは、あなたの Ptyhon パスのどこでも使うことができます。

__init__(get_response)

ミドルウェアファクトリは get_response 引数を受け取る必要があります。ミドルウェアに対してグローバルな宣言を初期化することもできます。いくつかの注意事項があります:

  • Django は get_response 引数でミドルウェアを初期化するため、__init__() で他の引数を必須にすることはできません。
  • リクエストごとに 1 回呼ばれる __call__() メソッドとは異なり、__init__() はウェブサーバが起動したときに 1回だけ 呼ばれます。
Changed in Django 1.10:

以前のバージョンでは、__init__() ウェブサーバが最初のリクエストに返答するまで呼ばれませんでした。

以前のバージョンでは、__init__() は引数を受け取りませんでした。ミドルウェアを Django 1.9 以前のバージョンで使用できるようにするには、get_response を省略可能な引数とします (get_response=None)。

ミドルウェアを不使用としてマークする

起動時にミドルウェアを使うかどうかを決めることは、ときに有用です。この場合、ミドルウェアの __init__() メソッドが MiddlewareNotUsed を投げる可能性があります。Django はミドルウェアプロセスからこのミドルウェアを削除し、DEBUGTrue のときはデバッグメッセージを django.request ロガーに記録します。

ミドルウェアを有効にする

ミドルウェア要素をアクティブ化するには、Django の設定内の MIDDLEWARE リストに追加してください。

MIDDLEWARE では、各ミドルウェア要素は文字列で表されます: ミドルウェアファクトリのクラスや関数名に対する完全な Python パスです。 例えば、以下は django-admin startproject で生成されるデフォルト値です:

MIDDLEWARE = [
    'django.middleware.security.SecurityMiddleware',
    'django.contrib.sessions.middleware.SessionMiddleware',
    'django.middleware.common.CommonMiddleware',
    'django.middleware.csrf.CsrfViewMiddleware',
    'django.contrib.auth.middleware.AuthenticationMiddleware',
    'django.contrib.messages.middleware.MessageMiddleware',
    'django.middleware.clickjacking.XFrameOptionsMiddleware',
]

Django の導入では、ミドルウェアは必須ではありません — お望みならば MIDDLEWARE は空でも構いません — しかし、最低でも CommonMiddleware を使うことを強くお勧めします。

ミドルウェアは他のミドルウェアに依存するため、MIDDLEWARE の順番は重要です。AuthenticationMiddleware はセッション内に認証済みユーザを保持します。したがって、SessionMiddleware の後に起動する必要があります。Django のミドルウェアクラスの順番については、Middleware の順序 を参照してください。

ミドルウェアの順番とレイヤ

ビューを呼び出す前、リクエストの段階で、Django は MIDDLEWARE 内で定義された順番で上から下に向かってミドルウェアを適用します。

これはタマネギのように考えることができます: 各ミドルウェアクラスは、タマネギの中心にあるビューをラップする 「レイヤ」 です。リクエストがタマネギのすべてのレイヤ (つまり中心にあるビューにいたる全ての道) を通過すると (各レイヤーは get_response を呼び出してリクエストを次のレイヤに渡します)、レスポンスは各レイヤーを (逆順で) 通過して戻ります。

いずれかのレイヤが短絡し、get_response を呼び出さずにレスポンスを返すことを決定した場合、そのレイヤの内側にあるタマネギの (ビューを含む) レイヤはリクエストおよびレスポンスを受け取りません。 レスポンスは、リクエストが通過したのと同じレイヤーを介してのみ返されます。

他のミドルウェアのフック

上述した基本的なリクエストやレスポンスのミドルウェアパターンのほかに、3 つの特殊なメソッドをクラスベースのミドルウェアに追加することができます:

process_view()

process_view(request, view_func, view_args, view_kwargs)

requestHttpRequest クラスのオブジェクトです。view_func は、直後に Django が使用する Python の関数です (関数の名前の文字列ではなく、実際の関数オブジェクトです)。view_args はビューに渡される位置引数のリスト、view_kwargs はビューに渡されるキーワード引数のディクショナリです。view_argsview_kwargs も、第一引数 (request) を含んでいません。

process_view() は、Django がビューを呼び出す直前に呼び出されます。

None もしくは HttpResponse オブジェクトを返す必要があります。None を返す場合、Django はこのリクエストの処理を続け、他のすべての process_view() ミドルウェアを実行し、さらに適切なビューを実行します。HttpResponse オブジェクトを返す場合、Django はわざわざ適切なビューを呼び出すことはしません; レスポンスミドルウェアを HttpResponse に適用し、結果を返します。

注釈

ビューが実行される、ミドルウェアの内側もしくは process_view() 内の request.POST にアクセスすると、ミドルウェアの後に実行される全てのビューが リクエストに対するアップロードハンドラを修正する ことができなくなるため、通常は避けられるべきです。

CsrfViewMiddleware クラスだけは例外と考えていいでしょう。というのも、このミドルウェアには、csrf_exempt()csrf_protect() というデコレータが用意されていて、このデコレータを使えば、CSRF の検証が必要になったどの時点でも、明示的にビューを制御できるからです。

process_exception()

process_exception(request, exception)

requestHttpRequest オブジェクトです。exception は、ビュー関数から投げられた Exception オブジェクトです。

Django calls process_exception() when a view raises an exception. process_exception() should return either None or an HttpResponse object. If it returns an HttpResponse object, the template response and response middleware will be applied and the resulting response returned to the browser. Otherwise, default exception handling kicks in.

Again, middleware are run in reverse order during the response phase, which includes process_exception. If an exception middleware returns a response, the process_exception methods of the middleware classes above that middleware won’t be called at all.

process_template_response()

process_template_response(request, response)

requestHttpRequest クラスのオブジェクトです。response は、Django のビューまたはミドルウェアから返される、TemplateResponse クラスのオブジェクト (あるいはそれと同等なもの) です。

process_template_response() は、レスポンスオブジェクトが r ender() メソッドを持っている場合、つまり、TemplateResponse クラスのオブジェクト (あるいはそれと同等のもの) である場合に、ビューの実行の直後に呼ばれます。

このメソッドは、render メソッドを実装したレスポンスオブジェクトでなければなりません。このメソッド内では、与えられた response に対して response.template_nameresponse.context_data を修正したり、あるいは、新規に TemplateResponse クラスのオブジェクト (あるいはそれと同等なもの) を作成したりすることができます。

ただし、レスポンスを自分でレンダリング (render) する必要はありません。なぜなら、レスポンスオブジェクトは、すべてのテンプレートレスポンスミドルウェアが呼び出された後に、自動的にレンダリングされるからです。

レスポンスフェーズでは、ミドルウェアは逆順に呼び出されます。これには、process_template_response() も含まれます。

ストリーミングレスポンス (streaming responses) を扱う

HttpResponse とは違い、StreamingHttpResponsecontent 属性を持ちません。そのため、ミドルウェアはもはや、すべてのレスポンスが content 属性を持っていることを前提にすることができなくなります。したがって、content にアクセスする必要がある場合には、レスポンスオブジェクトがストリーミングレスポンスオブジェクトかどうかをチェックし、その結果によって処理を場合分けしなければなりません。

if response.streaming:
    response.streaming_content = wrap_streaming_content(response.streaming_content)
else:
    response.content = alter_content(response.content)

注釈

streaming_content はメモリ上に置けないくらい大きいと想定しておくべきです。レスポンスミドルウェアでは、これを新しいジェネレータでラッピングすることができます。しかし、このジェネレータを処理することがあってはなりません。典型的なラッピング方法は、次のようになります。

def wrap_streaming_content(content):
    for chunk in content:
        yield alter_content(chunk)

Exception handling

Django automatically converts exceptions raised by the view or by middleware into an appropriate HTTP response with an error status code. Certain exceptions are converted to 4xx status codes, while an unknown exception is converted to a 500 status code.

This conversion takes place before and after each middleware (you can think of it as the thin film in between each layer of the onion), so that every middleware can always rely on getting some kind of HTTP response back from calling its get_response callable. Middleware don’t need to worry about wrapping their call to get_response in a try/except and handling an exception that might have been raised by a later middleware or the view. Even if the very next middleware in the chain raises an Http404 exception, for example, your middleware won’t see that exception; instead it will get an HttpResponse object with a status_code of 404.

Django 1.10 以前のスタイルのミドルウェアをアップグレードする

class django.utils.deprecation.MiddlewareMixin

Django は django.utils.deprecation.MiddlewareMixin を提供し、MIDDLEWARE と以前の MIDDLEWARE_CLASSES 両方に互換性のあるミドルウェアクラスの作成を簡単にしています。Django に含まれる全てのミドルウェアクラスは、両方の設定で互換性があります。

mixin は __init__() メソッドを提供しています。これは、省略可能な``get_response`` 引数を受け取って self.get_response に保持します。

__call__() メソッド:

  1. (定義されている場合) self.process_request(request) を呼び出します。
  2. self.get_response(request) を呼び出し、後のミドルウェアとビューからレスポンスを得ます。
  3. (定義されている場合) self.process_response(request, response) を呼び出します。
  4. レスポンスを返します。

MIDDLEWARE_CLASSES で使われている場合は、__call__() メソッドは決して使われません; Django は process_request()process_response() を直接呼び出します。

ほとんどの場合、この mixin を継承することで、旧式のミドルウェアと十分な下位互換性を持つ新しいシステムと互換性を持たせることができます。 新しい短絡セマンティクスは無害であり、既存のミドルウェアにとっても有益です。 いくつかのケースでは、ミドルウェアクラスは新しいセマンティクスに調整するためにいくつかの変更を必要とすることがあります。

以下は、MIDDLEWAREMIDDLEWARE_CLASSES での動作上の違いです:

  1. Under MIDDLEWARE_CLASSES, every middleware will always have its process_response method called, even if an earlier middleware short-circuited by returning a response from its process_request method. Under MIDDLEWARE, middleware behaves more like an onion: the layers that a response goes through on the way out are the same layers that saw the request on the way in. If a middleware short-circuits, only that middleware and the ones before it in MIDDLEWARE will see the response.
  2. Under MIDDLEWARE_CLASSES, process_exception is applied to exceptions raised from a middleware process_request method. Under MIDDLEWARE, process_exception applies only to exceptions raised from the view (or from the render method of a TemplateResponse). Exceptions raised from a middleware are converted to the appropriate HTTP response and then passed to the next middleware.
  3. Under MIDDLEWARE_CLASSES, if a process_response method raises an exception, the process_response methods of all earlier middleware are skipped and a 500 Internal Server Error HTTP response is always returned (even if the exception raised was e.g. an Http404). Under MIDDLEWARE, an exception raised from a middleware will immediately be converted to the appropriate HTTP response, and then the next middleware in line will see that response. Middleware are never skipped due to a middleware raising an exception.
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